朋田菜花の「ときには森を抜ける風の音のように」

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音楽に添えて_邦楽編013_「失われた鏡」

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アーティスト:ナイトメア 曲:忘れな草
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「失われた鏡」 文 朋田菜花





その壁にはね

失われた鏡がいまも形なく掛けてあって

夜12時をすぎるとアーチ型の扉が開くの

そう まるで私の失くした心の鍵が開くみたいに

家族は鏡の失われた壁を見るたびに

私のことを気遣って沈黙したまま

無言で食卓を囲んだ



そんな砂をかむような時間を

何日も何カ月もこのまま過ごすのかと

そう思っていた




何度叫んでも涙流しても

届くはずないから 冷静を装って生きてきた

クールに微笑んでる私しか人は知らない



失われた鏡の通路の向こうに

ちいさな隠し部屋があるの

ロザリオのしまってある宝石箱の隣に

あなたそっくりのマリオネットが座ってる

糸で操って こんにちは とか バイバイ とか

アイラブユー とか 言わせてみたり

むなしい一人芝居を重ねてきた



そんな悲しい時間とも今日でお別れ

鏡の通路を漆喰でふさぐから

さよなら さよなら マリオネットの恋

もうあなたとは永遠に逢えない

夢でめぐりあうことももうないから

そちらの世界で素敵な恋をみつけてね



永遠に鏡は失われ こんどこそ本当に失われ

アーチ型の出入り口はもう開かなくなったから

アフロディーテに扉の鍵を託して

誰もがもうそこになにが置かれていたか

記憶を喪失した そして まるで

森に棄てられたダビデ像のように

誰もあなたのことを思い出さなくなった













いまや、国際認知をかちとりつつある日本のロックアーティスト「ナイトメア」
彼らの代表的なロスト・ラブソングのうちのひとつ「忘れな草」を今回のお題にしてショートストーリイを綴ってみました。

家の中に、なにか失われたものがあるということと、心の中にぽっかり失われた部分があるということとはどこかシンクロしているような気がします。
何かを忘れるためには、それを片づけたりあるいは全く違うものとして模様替えしてしまうことなどが必要かもしれませんね^^
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by forest_poem | 2013-09-24 23:34 | 音楽に添えて

音楽に添えて_054 「愛に気づいた日」

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アーティスト:Dust in the wind 曲:Kansas
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「愛に気づいた日」 文 朋田菜花




海の向こうに飛び去った小鳥を追って

窓辺にたたずみ

彼方の空ばかり見ていた

そんな私はあなたに

何日も何日もさびしい後ろ姿だけ見せていたのねきっと



あなたは

小鳥の飛び去った海ごとつかまえてきそうなぐらい

真剣な眼をしていたのに

そしてかなしい瞳で私を見ていたのに

唇からはいつも歌があふれ

笑わせてくれたから

私 気づかなかった

ううん 幸せすぎて気づけなかったのね

少しずつ失った小鳥と 

そして小鳥とともに飛び去った夢を忘れ始めていた



あなたのくれたこの歌を

今日から口ずさんでみる

なにが変わるのかわからないけど

昨日までと違う私になれそうな気がする

風はいつも吹いていたのに

今日の風は今日しか吹かないし

明日の風は今日とはもう違うのだから

もう通り過ぎた時間を振り返るのはやめてもいいよね



あなたのくれたこの歌には

あの頃暮らしていた海に近い街の匂いがして

忘れていたざわめきが蘇ってくる

海の匂いに森の匂いがまじりあい

そして人々のざわめきが生きていた街

私の胸に熱い愛がまだ息づいていること

気づかせてくれたこの歌を

今日から毎日口ずさんでみる



今日の風は海風

あなたへと吹いている

私からあなたへと



おやすみなさい 星空にそっと

ささやいてみたよ











Kansas(カンザス)のこの曲は、歌詞はすべては風の中にあると・・・ボブディランの曲とどこか似ている気がするのにこんなにも違う風景を感じさせるのは、広がりのある曲のイメージのせいでしょうね。
万物は流転すると言ったのは哲学者ヘラクレイトスですけれど、すべてのものはうつろい変化していくのだからその事実をうけとめ生きていくことは、生きていく私たちの必然ですよね。

「悲しいことなどもう忘れなさい」という代りに、この歌をそっと贈られた時、主人公は静かな愛の存在を知りました。そして自分にとって本当に大切な人は誰であるか気付いたようです。
そんなショートストーリーを今日は綴ってみました。
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by forest_poem | 2013-09-23 23:58 | 音楽に添えて

漂泊の森NO.026 「ゆるがないもの」

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アーティスト:Matt Darey 曲:Allways
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「ゆるがないもの」 詩 朋田菜花




ゆるがないもの それは

るいるいとつみかさねゆくひび

がさりとおとをたててとりはとびたち

なきごえさえのこさないけれど

いつもこえをひそめて わたしはいのる

もどってきたときにあなたにほほえむために

のにさくはなよりしずかにゆるやかにたちづづける







季節はめまぐるしくめぐるけれど、うつろいゆく日々の中でゆるがないもの。
それがある限り、未来の扉はひらかれると信じて。
静かに、ひそやかに 待ち続けます。

秋はもうだいぶ深いですね。
美しい色合いが風景を染めていきます。
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by forest_poem | 2013-09-22 04:15 | 漂泊の森_短詩綴り

音楽に添えて_053 「傷ついたその瞳に」

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アーティスト:Bryan Ferry 曲:Jealous Guy
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「傷ついたその瞳に」 文 朋田菜花





あなたをからかったつもりは少しもないし

傷つけるつもりなどもっとなかったの

ごめんなさいはうまく言えないわ

へそまがりだからじゃなくて

本当にほんとだから

嘘のない気持ちで

こころから

いつも

あなたの

その指先から

生まれおちるものを

見つめていることだけが

私のしあわせだったのになぜ

信じてもらえなかったのかわからない

でも傷つけてしまったことをあがなうため

私はこれからもずっとずっと変わらず

日々の歌を紡いで生きていくこと

あなたと約束したいくつかの

大切な決めごとを守り

変わらぬ私で

居続け

あなたが言う

らしい私でいられる

そんな毎日をすごしていく

それがわたしなりのあなたへの

精一杯のごめんなさいのしるしです






もうあかないあなたのドア

あがないをつみかさねたら

いつかまたあかないのかな

はかないねがいなのかなあ

ああかなしいあがないの歌

あなたにとどいたらその朝

はがねのようなあなたの心

赤い花のようにほどけたら

うつくしく咲いて輝いてね






あがないとははかないねがいのつみかさね

かなしみとはいたみいつくしみいとおしむこと

この胸の痛みがいつかあなたに届くのならばきっと

千年の滝が藍色の滝つぼに流れ落ちるように星は降り

金色の月の光が降り注ぐ輪のような影の中で精霊は舞い

数億光年の彼方からの使徒が携えた未知なる物語が始まる














久しぶりの「音楽に添えて」シリーズの更新です^^
この「Jealous Guy(ジェラス・ガイ)」は、ジョンレノンが1971にアルバム「Imagin(イマジン)」に収録発表した曲。Roxy Musicが81年にレノン追悼のためにカヴァーを発表し、全英チャート1位を獲得しました。
Roxyはサックスやハーモニカなどの入る華やかなサウンドとブライアン・フェリーの独特の世界観のある個性豊かなサウンドが印象的なのですが、この曲では口笛を入れたり‥とのびやかなメロディラインの美しさを生かした素朴なアレンジが逆にとても効いています。原曲のジョンの歌声とはまたちがったブライアン・フェリーの静かに訴えるような大人の深みを持ったヴォーカルが心に残ります。

添えた文は、完全に元の曲の世界を飛び越えて違う世界にいっちゃってます(笑) 描かれているのは人の世の人情の機微。短い小説のような、一人称で語られた物語です。掌サイズの出来事から、遠い宇宙まで。イメージの世界は果てしなく広がっていきます。
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by forest_poem | 2013-09-19 07:06 | 音楽に添えて

漂泊の森NO.025 「道は終わらない」

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アーティスト:Journey 曲:Separate Ways
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「道は終わらない」  詩 朋田菜花




終わらない雨がないように秋の来ない夏がないように

いつか暗闇には光は射しうつくしいあなたは旅立つ

その翼に力を溜めて大空へと



すべての重力があなたを陥れようとしても

あなたのその輝きのほうがまさっているから



でも忘れないでいて私がここにいたことを

あなたを信じ見送る私がここにいたことを

私たちは地球に生きいつかまたふたたび巡りあう旅人








ロックの名曲中の名曲、ジャーニーのセパレイト・ウェイズ。
この100編を目指す漂泊の森シリーズの四分の一の節目に使わせてもらいました。
すべての道はローマに通ずというように、ここでこそ歴史は作られるのだと信じて待ち続ける者が一番強いのだといまは思えるようになりました。
そう思えるかぎり明日は今日よりももっと素敵な一日になるのだと思います。
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by forest_poem | 2013-09-18 00:44 | 漂泊の森_短詩綴り

漂泊の森NO.024 「楽園の掟」

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アーティスト:ATB feat Heley 曲:Gravity
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「楽園の掟」 詩 朋田菜花




波にただようように 踊るようにゆれていても

美しい季節のうつろいに ある日めざめても

この地上にいる限り 楽園の掟(おきて)にとらわれている



かぎりないGの束縛は どんなに翼をはばたかせても

浮遊力を奪い 私を地上へとつなぎとめる

おまえなどただの石くれに過ぎないのだと告げるかのように



それでもなにをすべきか なにに生きるべきか

それでもどこをめざすべきか 心にさす光を信じ明日へと










GとはGravity(重力)つまり、地上にいるかぎりわたしたちにかかってくる負荷をさしています。
どんな人にも重力があるし、どんな場所にも重力はあります。
決して逃れることのできない、束縛はだれにでも。
それとどうむきあい、明日へと何を残すのか。
日々さがしつづけていきます。
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by forest_poem | 2013-09-17 00:05 | 漂泊の森_短詩綴り

漂泊の森NO.023 「さすらう」

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アーティスト:Blackmore's Night 曲:Ocean Gypsy
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「さすらう」 詩 朋田菜花





あの月が水面を照らしているところまで

歩いていきたいの

あそこには 月のしずくが降ってきていて

人魚たちが この海じゅうの悲しみをよせあつめて

ないたり わらったり そしてまた ないたりしている



金色をしているのよ 悲しみのしずくは

悲しいからこそ尊いの美しいの 胸をさすほどに

さすらい続けないとわからないのよ その真実(ほんとう)の意味は










悲しみに出会って、ああなんてつらいと思うのか、それともこれで一つ人の世の悲しみを知ることができたと思うのか。
詩人として生きた定命は、つねに後者のとらえかたであり、それを理解できない周囲の人にはときに奇異にさえうつるかもかもしれませんが。
いつも悲しみについて考えています。
でも、心配しないで^^ちゃんと同じくらい喜びについても考えています。
翳があるから光があるように、悲しみがあるからこそ、光り輝く一瞬が何倍にも感じられるのです。
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by forest_poem | 2013-09-16 00:32 | 漂泊の森_短詩綴り

漂泊の森NO.022 「墜ちていく」

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アーティスト:schiller & Moya Brennan 曲:Falling
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「墜ちていく」 詩 朋田菜花




どこまでも墜ちていくというのなら

そのさきで待ってうけとめてあげる



そしてさらに手をとってともに墜ちていけばいい

大地の底まで



たどりついた先が どんな場所だったとしても

根をはって大空に腕をひろげて

もういちど地球を一周するヒバリのように

星々の歌をうたうのよ










詩はときに、ロジカルで哲学的です。
そして、詩は時にファンタジックで観念的です。
いいえ、多くの哲学は夢見ることから始まったといっても過言ではないかもしれません。
現に多くの哲学者が、詩をたしなみ作品として残しています。
今日の作品も、論理的でいて不条理に満ちた大切な友人のために。
そして地上のすべての音楽と詩を愛する人のために。
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by forest_poem | 2013-09-15 00:00 | 漂泊の森_短詩綴り

漂泊の森NO.021 「想いははるかに」

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アーティスト:Blackmore's Night 曲:Wish You Were Here
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「想いははるかに」 詩 朋田菜花




おおいなる海の孤島に流れ着いて

もうどのくらい時間がたったのか

いまはもう思い出せないくらいに

はるかとおく ふるさとを

はなれて 生きているけれど いまもわたし

るると涙こぼしていること あなたは知らない

かなわない願いでも ここにいてほしいの

におやかな白い花はホロロンと溜息をついて風に揺れた









故郷を離れて生きることの、怖さも厳しさも知らないままに、夢だけを抱いて育った街を旅立った20代のころをふと思い出しました。
命をつなぎ、次世代へと託すためにさまざまな生き物が旅をするのはこの地上の宿命のようなものなのかもしれませんが。



更新、すごく間があいてしまいました。
リアルのほうが多忙で、展示会に出展などしながらの詩作をつづけたりしていたのですが、展示会が終わった途端そこまでの加重から解放され空白状態になってしまいました‥‥
エネルギーを出しつくしたというか‥おかげさまで悪天候にもかかわらず例年通りの成績を収めたのでほんとうに幸運に恵まれたといえますが‥‥
ちょっとオーバーホールぎみだった体調と精神とを再び整えたら、次なる目標にまた向かっていかなくてはなりません。秋はとにかく多忙です。ありがたいことなのですが‥
徐々にまた、ペースを戻しつつ文章も綴っていきたいと思います。
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by forest_poem | 2013-09-12 21:41 | 漂泊の森_短詩綴り

漂泊の森NO.020 「海原を越えて」

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アーティスト:TNT 曲:Seven Seas
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「海原を越えて」 詩 朋田菜花




一粒の種は波に乗って

新しい森をさがして旅に出ました

どこで出会えるかな

どこまで行けるのかな

海の王様になるのもいいね

でもやっぱり陸地にたどり着きたいな

夢は最後まであきらめないよ

きっと叶うと最後まで信じつづける








ときに、海を越えて森は広がっていきます。
風にのって運ばれる種子、鳥などによって運ばれる種子、そして海を越えてはこばれる種子。
七つの海を越えて旅するひとつぶの種には、小さな夢と大きな未来が詰まっています。
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by forest_poem | 2013-09-06 04:40 | 漂泊の森_短詩綴り
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創作モード炸裂。ファンタージュの森を生く。


by forest_poem
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