朋田菜花の「ときには森を抜ける風の音のように」

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カテゴリ:一行詩/短歌/俳句( 14 )

Archive 一行詩「美しい村 vol.3」



「美しい村 vol.3」



誰もがこんにちわと笑み過ぎていく自転車通学の列

風鈴の音と海風の匂いが「午後から雨」と告ぐ

一時間一本きり単線通過を律儀に告げおり電柱の烏

村外れの自転車屋で恋の処方箋販売中

出窓のガラス壜薙ぎ倒しつつ凪(なぎ)終わり陸風

恋愛小説よりリアルな苦悩が窓下を語らい過ぐ夕闇

オムライスだけが名物の岬の洋食屋はトタン屋根で

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by forest_poem | 2006-12-27 00:26 | 一行詩/短歌/俳句

Archive 一行詩「美しい村 vol.2」

「美しい村 vol.2」



砂浜を歩みし我の頭上よりふいに響けりアルペジオ

畠の畝でふと飛蝗の褐色の斑に見惚れていたりする

玉蜀黍の丈はや我に迫り金髭風に揺らし笑っていたり

海の午後は美神の歌が風に乗り誰彼となく眠くする

美しい色は永遠に掌中にはなく いつも沖合1.8km海上

十字星は見えずアンタレスなら8月に見ゆ海辺の村

星の数と夢の数を足し算すれば眠れるかな 星月夜






畠=はたけ=畑
畝=うね
飛蝗=バッタ
班=まだら
玉蜀黍=とうもろこし
髭=ひげ
十字星[南十字星のこと。]
アンタレス[蠍(さそり)座の主星。赤い輝きの一等星]

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by forest_poem | 2006-12-26 03:07 | 一行詩/短歌/俳句

Archive 一行詩「美しい村」



 一行詩七編 「美しい村」



雨粒のリズム叩きし激情も今は遙かな水平線

車窓越しの海 午後の封筒に詰め送信

海に恋したのか恋に恋したのかわからずただ歩む午後

何かを少し棄てながら海へ辿る散歩道

爪先で死ぬナメクジにも五分の命

美しい村の標にと空にリボン掛ける翼あり

携帯で届かぬ言葉伝ふ 糸電話




私が現在くらしている日常を描いた作品群です。
初出、山詩会。


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by forest_poem | 2006-12-25 23:03 | 一行詩/短歌/俳句

携帯から一行詩「都市の森 二十五時」


そんな伝達方法なんてフェイントだった月に映る都市風景画像



確かにあの森には蛍が棲んでいた まるで雪のように星のように


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迷路の果てでやっと逢えたね 夢で抱きしめてくれたあなた



消えてしまった手紙を思い出す日々あなたはどこに書き留めたの



まさにそのブルーノート クロスオーバーの十字架響く十二月の星月夜


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風の中紅茶カップ傾けるのは誰の受け売りなんだろ午後の喫茶店の私



私の血が本当は熱いこといつか教えてあげる二枚の金貨空に投げたら






(photo by Nahana at Mikimoto Pearl Center in Ginza)
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by forest_poem | 2006-12-19 22:39 | 一行詩/短歌/俳句

携帯から一行詩「街の空」




街の空輝く 私の生まれた街 君住む街 2006年最後の伝説も輝く



初めて触れた強い背中で生き様のすべてがわかったよ



いつも前を向いていてくれた君にありがとう私も負けず生きていく



そこまで言われたら泣き虫卒業するしかないよねと微苦笑のステップ



雨はあがった雪はふらなかった一粒残った悲しみは優しい歌が消し去った



街の空に月が昇るころ待っていた星は東の地平にきっと輝く



マリンスノー 重ねた手のひらはふたたび夢の続き夢の温もりへ
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by forest_poem | 2006-12-17 15:45 | 一行詩/短歌/俳句

「白い岬に君だけいない」

Archive【短歌十首】「白い岬に君だけいない」


饒舌に語る言葉はないけれど夢の種だけ蒔いて育てる


寝所には白き天幕めぐらせて愛を語らふ繭のごとくに


絶え間なくぼくらは明日を生きるからおなかがへるねねむたくなるね


「ビタミンは冷蔵庫にはないんだね、君の笑顔」と、話す君


今すぐに言いたいことの数々を 星にだけ告ぐ沈黙の叫び 


届かない夢が棲んでるショウウィンドゥ 去りゆく人の花束を編む 


蒼穹を抜け天高く行け岩雲雀リリシズムの笛を吹きつつ

        リン
きらめきの鈴を響かせ星流れ白い岬に君だけいない


雨だれを言葉と聞きし午前5時青い窓辺の不在通知書


言葉とは片翼なる鳥に似て対ありてこそ風向をつかめり

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by forest_poem | 2006-06-02 16:49 | 一行詩/短歌/俳句

「道志渓谷への夏の旅 〜追悼 H.Mに捧ぐ〜」

【即興一行詩 十二編】
「道志渓谷への夏の旅 〜追悼 H.Mに捧ぐ〜」


おにぎり6個と沖縄民謡と青い空だけ連れてひた走る。道志渓谷の旅。

ポケベルも携帯も切った訳じゃない。電波は森には届かないんだ。

改造自転車バスを運転する老婦人。農業用ビニルの屋根風にそよぐ。

あの夏キミは確かに生きていた。私の隣で生きていたよ。青葉の森で。

「けもの飛び出し注意」の標識。丁寧に説明してくれたね道志道。

「落石注意」の標識。まさに崖が崩れ落ち迂回する津久井湖畔。

岩盤に生えていたのは岩鏡か岩煙草か桜草か。流れる車窓を追った。

キャッチコピーなんかいらない青い渓流ただ美しいただそれだけで。

もう一度ここに来ると言った約束を抱えたままキミは消えてしまった。

あの日の森が、渓流が、私を潤し 生かし続けている。

摩天楼発渓谷行き。あの日の運転手のキミ、今は銀河を旅する。

キミの骨は森の国に帰っていった。広瀬川流る故郷の青葉城へ。 
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by forest_poem | 2006-05-09 09:09 | 一行詩/短歌/俳句

「湯島聖堂の森」

【携帯から即興一行詩 十編】「湯島聖堂の森」


海からの距離は何キロと、問うている常に。

森からの距離は何キロと、問いかける。風に。

胎内で見た梢かも知れぬ。聖堂の大楠。

恋い初めしころ母が通った舗道。今日の雨に濡れつ。

遠き日の父の面影を重ねておりました。昌平坂。

その「閑かな闘い」へ必勝を祈りました。皀角坂。

再び風が巡りくるときはもう私もあなたもここにはいない。

私たちは風の行方を手繰り、長い旅に出るのです。

父と赤門行きバスに乗った、もう帰れないあの日の夕暮。

幸あれ、海に。幸あれ、森に。…私の愛した街に。
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by forest_poem | 2006-05-08 19:42 | 一行詩/短歌/俳句

深夜のセルフ・ポートレイト

【携帯から即興一行詩 七編】「深夜のセルフ・ポートレイト」



深夜という言い訳が 今宵も片肺の稜線なぞりおり

ポートレイト 誰に見せもせぬのに唇元だけ愛を語る

郵便受けに溜まっており 待ちくたびれた鴎の羽音

サキュバスと呼べば闇より出 我に添いし君

我終(つい)に一羽の鳥の骸となりて朝の岸辺

深海より誘いおりしは夭逝の我友か はた 魔物か

何度でも死に 何度でも再生す 悪夢の夜を越えて



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by forest_poem | 2006-05-02 04:47 | 一行詩/短歌/俳句

颱風が連れてきた南の雨

Archive 一行詩[vol.5 颱風が連れてきた南の雨]



不可思議な実感の時間を生きる別れ際

痛点は愛ゆえに愛の最中にも存在す

同時刻に午餐を食す数千キロを隔て 

感情のトラップに陥る逢いたさゆえに

花束はいらない軽く裏切った後微笑むだけで

心地良くだけど泥舟に似て未来は見えず

颱風が南の旅の雨と風連れてくる

「言葉」とは嘘つきなのに真実を言う

七夕の短冊も流れそうな雨に溶けて流れる夢

コーラの気が抜けるように論点の抜けた思考

寂しがりの唇だけ薄闇に浮かぶ夜

今日も雨を聴いている明日は何を聴くのだろう
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by forest_poem | 2006-03-06 13:06 | 一行詩/短歌/俳句
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創作モード炸裂。ファンタージュの森を生く。


by forest_poem
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