Archive 長詩「ある朝、風の中で」



   「ある朝、風の中で」

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 私が、岬巡りを計画したのは
 この白砂の海岸にその日の早朝
 あの人からの伝言が届くと
 私の二階の書斎の窓辺に
 星烏(ホシガラス)がわざわざ伝えに来たからだ

 この街の静かな海岸線には
 自動車も、ジョギング姿も、ウォーキング姿も
 あまり似つかわしくはなく
 何気なくうろついている自転車乗りらしく見えるよう
 それらしい服を見つけるのに半時間を費やした

 一人で海岸線に降り立つのが恐いのは
 まだ足の怪我をひきずっているのか
 それとも未だ癒えぬ別種の傷なのか判断がつかないまま
 銀色の車体に飛び乗り漕ぎ馴れたペダルを踏みしめ
 一路、海へ

 海岸線はゆるく長く弧を描き
 静かな波がよせて返すのみ
 長く続く防波堤の切れ目から覗いては途切れる水平線
 引き潮で出現した浅瀬に白鷺が30羽ほど群れ
 波間には真鴨たちが浮かんでいる

 けれど、波打ち際まで近寄ってみても
 あの人からの伝言はどこにもなく
 ただ、風が吹いているだけだった

 帰りしなにシロバナタンポポの大群生をみつけた
 日本固有種で絶滅危惧種でもあるのに
 この海辺にはまだこんなにも咲きあふれている

 たぶん私もこの花と同じくらいに
 失われそうなものを失いきれずに抱えている
 このままにしておけば、失ってしまうかもしれないのに
 なくす決心すらつかないままに

 今夜また、星烏が窓辺に来たら伝えよう
 もう少し、きちんと日常を日記にでも書いてみると
 迷うことばかりの毎日だけど
 とりあえずこの街で生きていると
 それが、風の中で私が残したあの人への伝言
Commented by 獅子緒 at 2007-01-16 11:12 x
遅くなりましたが‥
新年が明けてしまったので今年もよろしくです。
忙しいようだね(・・;)

日記を書くとか?
菜花‥無理すんな(笑)










波の上を飛ぶ鳥の
休む場所は砂浜だけ




それではまた!
Commented by 安楽人 at 2007-01-21 01:16 x
きょろきょろ。
Commented by forest_poem at 2007-02-02 02:33
獅子緒さん、こんばんは^^いつも読んでいるよ。携帯から登録しているから、朝起きてベッドの中からとかアクセスしてる^^ んとね、Archiveって頭に着いている作品はみんな過去作品です。これも岬めぐり繋がりで出してきただけ。昨春の作です。この詩の中の「日記」とは公開ブログとかの意味じゃないよ、心の記録っていうような意味。

波の上を飛ぶ鳥の
休む場所は砂浜だけ

素敵だね^^ありがと☆
Commented by forest_poem at 2007-02-02 02:33
安楽人さん、おはつ。 きょろきょろきょろ^^
by forest_poem | 2007-01-11 06:49 | 詩 未分類 | Comments(4)

創作モード炸裂。ファンタージュの森を生く。


by 朋田菜花
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