朋田菜花の「ときには森を抜ける風の音のように」

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Archive 詩集『生命の森にたたずむ午後に』 より 「スライド・ギター」

  
  「スライド・ギター」



 どこまでも広がる綿花畑

 入り組んだ運河

 青空と太陽の粒子を吸い込んだ

 自由の大地



 夜が訪れる

 星は闇を照らし

 月に躍る異界の精霊

 柔らかくとけていく湖の波紋

 土埃の中ににひそんでいた邪悪の化身たちが

 ひそひそとささやき交わす声

 森の奥の魔物の呻き



 だが、スライド・ギターがうなり始めると

 空気がひび割れ

 悪霊さえもうなだれて風のようにしのび泣く



 弦がうなる

 弦がしなる

 つまびく指が

 誇り高きぶっきらぼうな哀しみと

 気の置けない不格好なたくさんの痛みを歌い続ける



 すべての美しいものと

 すべてのはかないものが

 果てしなく螺旋状に交錯する

 もう、ここには善も悪も存在しない



 弦を聴きながら心は

 私を待つ地底の世界に落ちていく

 スライド・ギターの青い夜

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by forest_poem | 2006-11-16 23:59 | 詩 未分類
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創作モード炸裂。ファンタージュの森を生く。


by forest_poem
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