朋田菜花の「ときには森を抜ける風の音のように」

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即興長詩 「雪橇は雪原を走り、花筏は海原を流る」



  「雪橇は雪原を走り、花筏は海原を流る」



母よあなたは雪が苦手だったのに

雪深い街で一人眠る羽目になったことを

悔いていませぬか

大丈夫、根雪が降り始める霜月の朝

私は心象の雪原に白い犬七頭が引く

雪橇(ゆきぞり)を走らせ

あなたを迎えに行きましょう



母よあなたは死んだら南の島で

花をながめて実る果実と鳥たちを愛でて

暮らしたいと言いましたね

大丈夫、常夏の光あふれる南洋の海まで

私は心象の潮流にブーゲンビリアの花を載せた

花筏(はないかだ)を浮かべて

あなたを送りとどけましょう



母よなぜあなたは

私の用意した

それらすべてを拒むのですか



母よなぜあなたは

ただ静かに

そこで首を振っているのですか



全てを見届け

全てをまた地上に返し

ただ千億の瞳のように

ただ唯一のまなざしのように

ただ見守っていると

ただ祈っていると

そう ささやきながら

静かに微笑み続けることができるのですか





母よ

私もいつかあなたになりたい





雪橇は雪原を走り、花筏は海原を流る



そして母は宇宙であり

宇宙は母であるのだと

風がそう告げる



雪原の向こうに広がる空も

海原を包み込む空も



青を生み出し青に帰っていく 

ひとつながりの宇宙 











  ★この作品を七年前に他界した私の母と、この世の全ての「母」に贈る。
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by forest_poem | 2006-11-10 23:59 | 未完詩集 瑠璃…
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創作モード炸裂。ファンタージュの森を生く。


by forest_poem
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