朋田菜花の「ときには森を抜ける風の音のように」

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Archive 詩集 森のささやき 「静寂」



「静 寂」



音のない世界で

あなたの指先がわたしの指にそっと触れて
 
ひとりではないと教えてくれた

見えるものだけを信じるのも

もう今日で終わりにしよう


 
光の射さない部屋で
 
冷たい鏡に額をつけて

映る姿をみつめる
 
視線を返しているのはあなた

それともわたし

そんなとき空間に潜んでいる詩聖(image)が
 
冷たい爪の先に燐のように降りてきて

銀の鈴のように鳴り響く
 
だのにその音さえやはり聞こえない



ただ
 
冷たい
 
澄んだ感触が

いま
 
冴えた鈴の音が鳴っていると告げる

誰にも届くことのない

遠い鈴の音



音のない世界で

あなたの指先がわたしの頬にそっと触れて

決して

ひとりではないよと

一粒の涙を

シャボン玉のように

風の中に飛ばした



それがはじけて消えた音も
 
やはり
 
聞こえなかった



でも
 
耳を澄ましている

もう
 
しばらく
 
こうして

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by forest_poem | 2006-10-07 00:02 | 詩集 森のささやき
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創作モード炸裂。ファンタージュの森を生く。


by forest_poem
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