朋田菜花の「ときには森を抜ける風の音のように」

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音楽に添えて_007 「絵葉書にはなにもかけそうもない」

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アーティスト:Ultoravox 曲: Vienne(in Live Aid)
(★画像をクリックすると音楽のページが開きます by you-tube)


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「絵葉書にはなにもかけそうもない」 文 朋田菜花



最後にあなたへと
ここからの風景をまずは絵手紙で
そう思い水彩色鉛筆をとりだしたのだけれど
記憶の粒子があふれすぎて
ポストカードの上でとびはねるので
ただマーブル模様もどきの渦巻きを
シアンとゼラニウムレッドでぐるぐるとかき
ただ水筆でなぞっただけで


最後にあなたへと
なにか言葉を書き添えようとしたのだけど
言い尽くしすぎるほど語っても
伝わらなかったのに
いまさら何を書けばいいのかわからなくて
ただカフェのパラソルの下
ペンを置いたまま
パチパチと溶けていく氷の音だけ聴いていた


私はこの街の異邦人なのか
私はこの地上の異邦人なのか
……おもむろに心のスイッチを切ってみた


    ◇ ◇ ◇


ふたたび「ON」……なにも聴こえない
だが や…が…て 氷の溶ける音
舗道の足音 街路樹のざわめき
街角のアコーディオン 遠いクラクション
スズランの花束 絵画館のチケット売り


やはり絵葉書にはなにもかけそうもない


だけど
この街を吹き抜けていく
風のざわめきだけは 光の色合いだけは
ずっと忘れないでいようと 
そう思った







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音楽をお題に書き下ろすシリーズ、今日は7作目です。
曲のタイトル「Vienne」はウィーンというドイツの都市。英語では
ヴィエンっといったふうに発音します。あの音楽の都、ウィーン
フィル・ハーモニー管弦楽団などでも名高い場所です。

いえそれだけでなくウィーンって素敵な街^^
音楽だけじゃなく、あたらしい造形や美術の街という側面も。
まずは、地球の歩き方「ウィーン」>>>
などなどご覧になってみて^^
あ、ぺつに私旅のライターもやっておりますが今回は宣伝とかではなく
ほんとうによいなと思うのでご案内してみました。


曲と作品の話に戻ります。
「Vinne」のほうは、美しい街にいながら何も感じないなにも意味を
なさない‥そう繰り返すことで、別離の悲しみと喪失感をうたいあげ
ています。心は何も感じていないのではなく、はりさけそうなほど
あるいは記憶も感受性も空白になってしまいそうなほど感じている
からこその心の叫び。美しいミッジ・ユーロのボーカルが歌いあげる
絶唱型ロックともいえる楽曲です。

私のほうの文は、もっと半径2メートル以内に世界をいったん縮め
そこから書き始めてみました。別離のかなしみを抱えた旅人目線で。


すぐには歩き出せないほどの悲しみも、生きてさえいればいつか
時が癒してくれます。
そして、大きな喪失に出会ったときにしか見えないものが必ずある
ので、それを見失わないでください。
それはいつか、いますぐではないいつか、あなた、あるいはあなたと
出会う身近な人のために力となってくれます。

それが何なのか、わたしにはうまく言えませんが、おいしいコーヒーの
沸かし方とか、毎朝来る鳩が実は公園のどの木にすんでいるかとか
午後から夕立が来るときの朝の雲の見分け方とか。
いえいえそれよりもっとたわいのないこととか、返ってもっと重要な
こととか。
もし思いだしたらまた書いてみますね。

ではでは。
次もがんばります。
曲探しも佳境に入ってまいりました^^
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by forest_poem | 2013-06-17 22:36 | 音楽に添えて
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創作モード炸裂。ファンタージュの森を生く。


by forest_poem
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