朋田菜花の「ときには森を抜ける風の音のように」

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 「私の瞳は鳶色のガラス玉ではない」

 




 海からの風はどっちに向かうのだろうと

 抽象の時空に格納してある風切羽にそっと問いかける

 木立を抜け吹き降ろす風は海霧に出会えるのだろうかと

 日がな一日眺めているガラス窓越しの空に問う



 あの山道で転落して

 死に損なってサイボーグの足になり

 癒えていく時間の中で私は違う座標を歩き始めた

 私は今確かに

 私を支える見えないもう一翼の「つばさ」を知覚している

 生死の峠を越えたそのときですら

 その白い暖かな片翼は

 そっと私の魂の隣に寄り添っていた





 つぎに目指す地点を見据えて

 ゆるやかに歩き始めたこの夜

 ロボットのようなぎこちない歩行訓練を

 天空の蒼月が見守っている







 もう私の瞳はただ透明なだけの鳶色のガラス玉ではない





____________________________
旧作ですがたぶんまだこのブログには載せてなかったと思います。
本サイト「森のうた 森のこえ」に掲載してあるWEB詩集「昭和の森の子供たち」
に収録。
旅先で突如左足を骨折して、1か月市民病院の外科病棟に入院し、退院後
もギプスの足での歩行を余儀なくされたときの想いをつづったものです。
ふつうに歩いたり走ったりできるのか、毎日不安でした。
病院から一歩も出られない生活もとても辛かった‥‥
心だけが白い鳥になって、大空をはばたいていた‥‥‥

もうあれから10年が過ぎたのですね^^
あのときのことがなければ、山口県で暮らすことにはならなかったかも^^

BGMをいただいてアップしたバージョンが
こちら>>>
から聴けます。
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by forest_poem | 2013-06-11 03:03 | 詩集 昭和の森の子どもたち
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創作モード炸裂。ファンタージュの森を生く。


by forest_poem
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