音楽に添えて_054 「愛に気づいた日」
2013年 09月 23日
アーティスト:Dust in the wind 曲:Kansas
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「愛に気づいた日」 文 朋田菜花
海の向こうに飛び去った小鳥を追って
窓辺にたたずみ
彼方の空ばかり見ていた
そんな私はあなたに
何日も何日もさびしい後ろ姿だけ見せていたのねきっと
あなたは
小鳥の飛び去った海ごとつかまえてきそうなぐらい
真剣な眼をしていたのに
そしてかなしい瞳で私を見ていたのに
唇からはいつも歌があふれ
笑わせてくれたから
私 気づかなかった
ううん 幸せすぎて気づけなかったのね
少しずつ失った小鳥と
そして小鳥とともに飛び去った夢を忘れ始めていた
あなたのくれたこの歌を
今日から口ずさんでみる
なにが変わるのかわからないけど
昨日までと違う私になれそうな気がする
風はいつも吹いていたのに
今日の風は今日しか吹かないし
明日の風は今日とはもう違うのだから
もう通り過ぎた時間を振り返るのはやめてもいいよね
あなたのくれたこの歌には
あの頃暮らしていた海に近い街の匂いがして
忘れていたざわめきが蘇ってくる
海の匂いに森の匂いがまじりあい
そして人々のざわめきが生きていた街
私の胸に熱い愛がまだ息づいていること
気づかせてくれたこの歌を
今日から毎日口ずさんでみる
今日の風は海風
あなたへと吹いている
私からあなたへと
おやすみなさい 星空にそっと
ささやいてみたよ
Kansas(カンザス)のこの曲は、歌詞はすべては風の中にあると・・・ボブディランの曲とどこか似ている気がするのにこんなにも違う風景を感じさせるのは、広がりのある曲のイメージのせいでしょうね。
万物は流転すると言ったのは哲学者ヘラクレイトスですけれど、すべてのものはうつろい変化していくのだからその事実をうけとめ生きていくことは、生きていく私たちの必然ですよね。
「悲しいことなどもう忘れなさい」という代りに、この歌をそっと贈られた時、主人公は静かな愛の存在を知りました。そして自分にとって本当に大切な人は誰であるか気付いたようです。
そんなショートストーリーを今日は綴ってみました。
by forest_poem
| 2013-09-23 23:58
| 音楽に添えて